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カラダにいいアート
2015.03.06

カラダにいい「アート」第三回
生命の不思議を巡る旅に出る。

 天気の悪い日にはカラダも重くなり、森のなかでは「空気が美味しい」と深呼吸をしたくなる。人のカラダと自然は、深く関係があるに違いない。今回は、「自然」に深く関係するテーマを扱う現在開催中のふたつの展覧会に「カラダにいいこと」のヒントを探してみたい。

 

《五嶽山真形文》国立歴史民俗博物館

 

〈DIC川村記念美術館〉で開催されている展覧会、『スサノヲの到来——いのち、いかり、いのり』。人と自然の関係の象徴として見出されるスサノヲを、様々な角度から紐解こうとする展覧会だ。

 

日本神話に登場する神・スサノヲ。食物を司どる女神を殺害し、人々に農耕をもたらした文化神的側面を持ち、既存のものを原点に戻して新しい世界を開く働きを持っていると言われている。

 

例えば、上の「五嶽山真形文」は中国の護符、つまりお守り札だが、国学者の平田篤胤はこれを、言語が生まれる前のプレテキストとして解釈していたという。平田は、幕末の外的脅威や内的動揺に際し、魂の安定こそ危機を乗り越える手段であり、人は死後どこへゆくかという問いを明らかにしなければ魂の安らぎを得ることはできないと考えた。そしてスサノヲが、地上を任された尊い神として捉え直されたのだった。人の魂はどこからどこへ行くのだろうか。この図から何かインスピレーションを得られるだろうか。
 縄文土器に見るスサノヲからその変容、現代作品まで、第七章からなる展覧会。会場となっている〈DIC川村記念美術館〉は、隣接するDIC総合研究所と合わせて約30ヘクタールの敷地を有する緑豊かな北総台地の自然に恵まれた美術館。展覧会を鑑賞したあとは、自然散策路を歩いて野鳥や昆虫との出合いを楽しむのもおすすめだ。

 

(左)《デプランケア・テトラピュラ》 『バンクス花譜集』より(オーストラリア) エングレーヴィング Bunkamuraザ・ミュージアム収蔵 ©Alecto Historical Editions Ltd / The Trustees of the Natural History Museum, London
(右)《バンクシア・セラータ》 『バンクス花譜集』より(オーストラリア) エングレーヴィング Bunkamuraザ・ミュージアム収蔵 ©Alecto Historical Editions Ltd / The Trustees of the Natural History Museum, London

 

 都会の真ん中、渋谷の〈bunkamura ザ・ミュージアム〉でも、自然と人との関係性を感じられる展覧会が開催されていた。『キャプテン・クック探検航海と「バンクス花譜集」展』では、植物学的探究の芸術的成果である『バンクス花譜集』の中から美しい銅版画約120点を展示。未知なる植物を追い求めたジョゼフ・バンクスの情熱が垣間見られる展覧会となった。『キャプテン・クック探検航海と「バンクス花譜集」展』はこの後、広島県の尾道市立美術館へと巡回する。

 

 人と自然の関係性を考えさせられるきっかけとなる2つの展覧会。人のカラダはいつでも自然と深く関係しているもの。その起源を辿ってみれば、カラダとうまく付き合っていくためのヒントが見つかるかもしれない。

 

「スサノヲの到来——いのち、いかり、いのり」
3月22日(日)まで、DIC川村記念美術館(千葉県佐倉市坂戸631番地
☎0120-498-130)にて開催中。

 


「キャプテン・クック探検航海と『バンクス花譜集』展」
3月1日(日)まで、Bunkamuraザ・ミュージアム(東京都渋谷区道玄坂2-24-1☎03-5777-8600)にて開催。7月18日(土)~ 9月23日(水祝)、尾道市立美術館(広島県尾道市西土堂町17-19 千光寺公園内)に巡回する。

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