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パリで知る歩く喜び走る楽しさ
2014.07.04

パリで知る歩く喜び走る楽しさ
『ビフォア・サンセット』を巡る。

「普段、日本にいる時にはほとんど歩かない。なのに、パリに来てからは、時間があるとずっと歩いてる」。出張でパリにいらした方から、そんな声をよく聞きます。散歩するだけでも気持ちのいいパリですが、人通りも交通量もぐっと少ない日曜の朝は、ジョギングに最適です。フランスは、デパートを始めショップも日曜・祝日はお休みですし、観光で回るのも良いけれど混雑は必至。それならいっそのこと、朝ジョギングをして、ゆっくりとランチを楽しむ。これまでと違ったパリの過ごし方をしてみませんか?

 

第3回目の今日は、映画『ビフォア・サンセット』の撮影スポットを辿るコースをご紹介します。イーサン・ホークとジュリー・デルピーが主演で、95年に公開された『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(ディスタンス)』の続編となるこの映画。1作目では、電車での偶然の出会いからウィーンで過ごす一夜限りのロマンチックなひとときが描かれ、この2作目は、2人の9年後の再会で、パリが舞台となっています。昨年、そのまた9年後となる第3弾『ビフォア・ミッドナイト』が発表されました。公開に伴い(日本での公開は今年1月)、前作を見直された方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この『ビフォア〜』シリーズは、ともかく主人公2人の会話でほぼ全体が構成されており、散歩をしながら進んで行く場面もたくさん。そこで、そのお散歩コースと立寄りスポットを辿っていきたいと思います。編集によって、離れた場所でも繋げられているシーンがありますので、実際に足でまわっていくと、ほぼ10kmほどの道のりです。
映画の中で見たことのある場所にさしかかると、頭の中で記憶にある一場面にワープして、目の前の風景がただの風景じゃなくなり、いつものジョギングやウォーキングとはちょっと違った気分になりますよ!
では、いざ出発!

 

スタートは、2人の再会のシーンとして冒頭に登場するシェークスピア書店から。

 

 

いつもたくさんの人で賑わっています。無休で、10時(日曜は11時)から23時まで営業していますが、観光シーズンともなると入場制限をしているほどの人気です。

 

お店を背にして、右へ。目の前の通り、rue Saint-Julien le Pauvreも右に曲がります。そして突き当たりのrue Galandeを左折。主演2人を前からカメラが捉えている場合は、進行方向と逆の風景が映し出されていることになるので、少し歩いたらちょっと振り返ってみてください。景色に見覚えがあるかもしれません。9年前、半年後に再会しようと約束した、その約束の日の話をしている通りです。
ダント通りrue Danteにぶつかったところで、次の場面は、セーヌ川を渡った右岸に飛んでいるのですが、私たちはそのまま左折してノートル・ダム大聖堂の見える方へ向いましょう。セーヌ川沿いの通りに出たら、信号を渡って(橋は渡らない)右へ。ノートル・ダムを左手に見ながら、ブキニスト(古本屋)の並ぶ通りを進み、2つ目の橋Pont de la Tournelleを渡ります。この橋の少し手前の川岸が、後半に出てくる場面で、2人が遊覧船に乗る場所です。
橋の先は、パリ発祥の地、サン・ルイ島。島を縦断するようにそのまま直進して、右岸への架け橋Pont Marieを渡ってください。右岸に着いたら、信号を渡って右へ。2本目の道、rue des Jardins de Saint Paulを左折すると、正面に教会が見えます。劇中で、先ほどのダント通りから繋がっているのがここです。

 

 

突き当たりに噴水が見えたら、そこを右に曲がります(rue Charlemagne)。映画の中でも、セリーヌ(ジュリー・デルピー)が、手で“こっち”と曲がる方向を示していますね。そしてすぐ左にある小道rue Eginhardに入ります。

 

 

この道の出口、サン・ポール通りrue Saint Paulに出たところで、場面は11区のカフェへと繋がります。私たちは左に曲がり、サン・タントワーヌ通りrue Saint Antoineを右へと進みましょう。

 

 

正面に見えるのはバスティーユ広場place de la Bastilleの塔です。もともとは牢獄があり、フランス革命の発端と言われるバスティーユ襲撃事件の起こった場所です。パリマラソンの時には、シャンゼリゼをスタートして、このバスティーユ広場が一つ目の給水地点になりますよ。

 

広場に出たら、ほぼ真向かいにあるフォーブール・サン・タントワーヌ通りに進みます。時計回りに広場をまわって、4つ目の通りです。商店の連なる賑やかなこの通りの途中にセリーヌの住むアパートの入り口があるのですが(cour de l’Etoile d’Or。はじめのイントロのところで映像が出てきます)、今は撮影時の看板もなく、通常入り口は閉まっているので、今回は割愛します。ご興味のある方は探してみてくださいね。
1kmほど進んで、メトロFaidherbe Chaligny駅の広場を越えたら、フェデルブ通りrue Faidherbeを左に曲がります。少し行くと見えて来るT字路の手前、右側にあるジャン・マセ通りrue Jean Macéに入りましょう。と、カフェの登場です。

 

 

日曜日も開いているので、ここで休憩するのもいいですね。
カフェを出たところで、次の場面はまた少し場所が飛びます。お店を左手にジャン・マセ通りを進み、五叉路をポール・ベール通りrue Paul Bertに曲がります。フェデルブ通りに戻って駅前広場に出たら、左斜め前にあるルイイ通りrue de Reuillyへ。まっすぐ進んで、メトロReuilly Diderotの駅を越え、次の駅Montgalletの手前右にある、モンガレ通りrue Montgalletを右折します。
先ほどのフォーブール・サン・タントワーヌ通りからルイイ通りも、パリマラソンのコースです。マラソンのときは、ここで右折せずそのまま進んでヴァンセンヌの森に向います。

 

大通りAvenue Daumesnilにぶつかったら、右に曲がりましょう。この通りの133と135番地の間(Go Sportの店舗の手前。向かいは94番地)に階段があるので、そこを上ります。
この階段が、先ほどのカフェを出たところから繋がるシーンの場所です。

 

 

緑道に出たら左へ(映画の中ではここで右に曲がるのですが、その後に続くシーンは、左へ進んだ道なのです)。この緑道では、映画の中のごとくお散歩をするカップルや、ベンチに座って読書をする人、そしてジョギングをする人とも多くすれ違います。

 

 

映画で使われたのは、緑道最後のアーチを越えたところにあるベンチです。

 

 

出口に着いたら階段を下り、右に折れて、バスティーユ広場の方へ。広場に着いたら、時計回りに進んで2本目の道、左手下にメトロの駅を越えたところにあるブルドン通りBoulevard Bourdonに入ってください。向うは正面に流れるセーヌ川!
ちなみに、緑道を出たところから、ここもずっとパリマラソンコースです。

 

セーヌ川沿いに出たら、右に曲がります。ほどなくして、左斜め前に、川岸に下りる道があるので、そこを入っていきます。見えてくるのは…

 

 

遊覧船を主人公2人が下りる場所です。劇中で、ドライバーに迎えに来て欲しい場所を伝えるべく、次の乗降場を何と言うかやり取りする場面があります。セリーヌ(ジュリー・デルピー)が、Henri IVをフランス語で発音するも、ジェシー(イーサン・ホーク)がなかなか解さず「ヘンリ・フォー?」と聞き返す、あの場面に続く、あの場所です。

 

この船着き場で、今回のコースはGOAL!
見たことのある映画に登場の場所に行くだけでも、おぉ!っとなりますが、主人公たちが歩いた道を辿ると、ストーリーを頭の中で思い起こしながら風景が見えて来て、楽しいですよ!
第1回目にパリの中心を、第2回目でパリ西部を、そしてこの3回目はパリ東部を巡るコースになりました。今回は、偶然ですが、撮影スポットを繋げて行ったらパリマラソンのコースと重なっていたので、余談として記しています。
楽しく歩いたり、気持ちよく走ったあとは、ごはんも格別においしいです。パリの滞在をよりおいしくかつ健やかに充実させるのに、ジョギングとウォーキング、おすすめです!

 

●今回のコース

 

Shakespeare and Company 37, rue de la Bûcherie 75005
教会が正面に見える通り rue des Jardins St-Paul 75004
Pure Café 14, rue Jean-Macé 75011
緑道への階段 133(135), avenue Daumesnil 75012
遊覧船の降り場  quai Henri IV 75004

 

川村明子
かわむら・あきこ
フードライター。98年に渡仏。「ル・コルドン・ブルー・パリ」にて料理・製菓・パン課程修了。著書に、『パリのビストロ手帖』 『パリのパン屋さん』(新潮社)、『パリ発 サラダでごはん』(ポプラ社)。朝ごはんブログmes petits-déjeunersも随時更新中。ジョギングは2年前に初めて、フルマラソン歴はまだ2回。

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