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極私的トレーニング
2014.06.02

気持ちに素直に、自然体でいる。
北島康介選手のからだにいいこと。

 

水泳選手としてオリンピックに4大会連続出場。アテネ大会、北京大会では100mと200m平泳ぎの2種目で連覇を果たすなど、偉大な功績を残してきた北島康介選手。今なお現役で活躍する彼に、日頃から実践している“からだにいいこと”を聞いてみると、意外にもそういったことはあまり意識したことがないのだという。自然体で行っていることが、結果的にからだにいいことにつながっているようだ。

 

―普段からやっている、からだにいいことってなにかありますか。

 

「競技をしていく上で、自分の調子をよくするために食事や睡眠は重要だと思います。でも、ごく当たり前のことなので、特に意識してやっているわけではありません。結果的にそれがカラダにいいことにつながっているのかなとは思いますけど」

 

―食事に関して、気を使っていることは。

 

「その時食べたいと感じたものが、体に必要なものだと思って食べていますね。お肉ばっかり食べているなと感じたら魚を食べたりもするし、身体が冷えているなと感じたら温かいものを食べたりもする。試合前には炭水化物を摂るようにして力を蓄えたり。生モノはなるべく避けるようにするとか。食事でストレスを感じることもあんまりよくないなと思っているので、基本的にはその時の気分で好きなものを食べるように心掛けています」

 

―メンタル面も含めて、日々の生活の中でからだにいいことってなんでしょう。

 

「結婚してからは、妻の手料理を食べる機会が多くなったので、僕は家にいる時はなにも気を使わないで過ごすことができる。“からだにいいこと”という意味では、それがひとつ楽になった点かなあと思うし、家庭を持ったことで、食事をとる時間がキチンと定着してくるといいのかなって思います」

 

―生活のリズムに関して、就寝時間は決まっていますか。

 

「特に決めていないので、バラバラですね。昔は寝なくても大丈夫だったけど、年齢を重ねるにつれて、ちょっとリズムを崩しちゃうとなかなかもう一回ペースを取り戻すのが大変だったりってのはあるから、普段から睡眠時間に気を使うようにはしています」

 

―睡眠時間はどれくらい確保していますか。

 

「今は競技以外のことも忙しくて、2~3時間しか寝られない時もありますね。寝だめができないから、ちゃんと回復させたい時はたくさん寝るようにするし、トレーニングに集中したい時は、その分、睡眠時間を確保しなきゃいけないから、自分のやりたいことが削られてくる。それがちょっと悩みです」

 

―体調を崩した時はどんな風に対処していますか。

 

「今は選手を続けているので、ドーピング検査のために飲めない薬がたくさんあって。だから、普段から体調を崩さないように気をつけています。例えば、新幹線や飛行機に乗る時は必ずマスクをするようにしていますし。あと知らない環境に行くと、カラダはリラックスしているようで、実はけっこう緊張していたりするから、海外ではあんまり不慣れなことをせず、日本での活動や生活リズムを崩さないようにしていますね」

 

―北島選手にとって肉体的にベストな状態はいつ頃でしたか。

 

「自分では今もベストな状態だと思っていますが、ただ、今の身体と18、19歳の時の身体の変化の仕方や吸収の仕方を比べると、やっぱりいろいろな意味で10代後半のほうが吸収率はいいと思う。身体も大きくなってくる時期だし、力も強くなってくる。だから今は、以前に比べて吸収しなくなった身体にどれだけ吸収させてやっていけるかみたいなところで勝負しています」

 

―メンタル的にはどうですか。

 

「経験値やメンタルってものは、以前よりも今のほうが強くなっていると信じたいですね。かつては得られなかったものをここ何年かで得られているのかなと思いますし。勝ったり負けたり、悔しかったり嬉しかったり、試合に出られたり出られなかったり。目標を達成した時の喜びは大きかっただろうし、逆に目標を達成できなかった時の悔しさがバネになって、経験値が上がってきたのかなとは思います。メンタルは、目標とする壁を突破して自らのカラを破っていくことでしか強くなれないものだと思いますから」

写真/鈴木慎平 文章/石川博也

 

北島康介選手
きたじま・こうすけ
1982年東京生まれ。平泳ぎの水泳選手。オリンピックのアテネ大会と北京大会では100m、200m平泳ぎで日本人唯一となる2種目2連覇を達成。続くロンドン大会でも男子400mメドレーリレーで銀メダルを獲得。日本競泳史上初のオリンピック3大会連続でのメダリスト。現在は現役を続けながら、水泳を通じたさまざまな活動にも精力的に取り組んでいる。
所属:日本コカ・コーラ

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