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極私的トレーニング
2014.05.15

自然に囲まれた自給生活で、
カラダ・メンテナンス。

 

 

 

 福岡の中心地から電車で約1時間。美しい海と棚田が広がる里山に囲まれた糸島市に、古民家を改築した「いとしまシェアハウス」が昨年誕生した。ここには、関東から移住してきた畠山千春さんと志田浩一さんをはじめ、20代から30代の若者7人が暮らしている。シェアハウスのコンセプトは「食物」「エネルギー」「仕事」、この3つの生活基盤を自分たちで作ること。今回、『わたし、解体はじめました —狩猟女子の暮らしづくり—』を出版した畠山さんに糸島生活について聞いた。

 

「3.11でスーパーやコンビニからモノが消えて、そうなるとお金も役に立たない、自分では何もできないことに危機感を感じたんです。一消費者として“人任せ”が多かった。その意識を変えて『自分の暮らしを自分で作る』生活にシフトチェンジしていこうといとしまシェアハウスを始めました」。狩猟や農作物など、現在の食糧自給率は20〜30%ほど。「もう少し自給率を増やしたいですけど、特に100%は目指していません。そうなると自分たちだけで生活が完結して、まわりとのコミュニケートが薄れてしまうから」と、あくまでも“繋がり”を大切にしている。

 

 昨年狩猟免許を取得した畠山さんは、解体したお肉を物々交換したり、シェアの文化も築き始めている。「食卓に並ぶお肉がどのように狩猟・解体されて消費者に届くのか。過程を知らなかった。その見えない部分をなくしたくて狩猟免許も取得しました」。狩猟・解体をはじめて、食生活にも変化が訪れたという。「以前は、ストレスを感じるとお肉を食べることが多かった。それが、この生活をはじめてから、お肉を食べなくてもよい体質ということに気付いたんです」。

 

「カラダが本当に欲しているもの、身の丈にあった食べ物が自然と向き合うことでカラダの芯からわかるようになりました」。旬の野草や海からの恵み。季節ごとの自然の恩恵を受けて、常にカラダのメンテナンスになっているという。「細かい季節の移ろいを全身で感じています。旬のものを食べる、虫や鳥の鳴き声で季節の変わり目を知る。自然に対する意識も高まり、とにかく気持ちいい生活です」。都会の生活を基盤とする人にとっても、自分で採集した自然の恵みを食に取り入れたり、野に出掛けて自然のリズムを感じることで、カラダ・メンテナンスに繋がりそうだ。

写真/石渡朋 文章/大島佑介

 

『わたし、解体はじめました —狩猟女子の暮らしづくり—』

 

畠山さんが実践する動物の狩猟・解体のことを彼女の暮らし方や想いも含めて丁寧に綴っていく。狩猟免許の取得方法や鶏の解体方法など狩猟の入門ガイド的側面もあり、女性だけでなく男性にもおすすめ。畠山千春著(木楽舎/本体1500円)


畠山千春
はたけやま・ちはる
1986年生まれ。新米猟師、ライター。震災後、自分の暮らしを自分で作るべく「いとしまシェアハウス」暮らしを始める。定期的にマルシェやイベントなども開催中。
ブログ「ちはるの森」http://chiharuh.jp/

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