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カラダにいい音楽
2014.01.24

カラダにいい「音楽」第二回
長時間トレーニング用のBGM。

BRUTUSで主に音楽ページを担当するライター・渡辺克己さんが選ぶ、「カラダにいい音楽」をご紹介。

 

 

ランニングのBGMには、どんな音楽が適しているのか。

 

公園などを走っていると、テンションの高いハードロックやトランスといった
かなり激しめな音楽を、ヘッドフォンからまき散らしながら疾走されている方、いらっしゃいますよね。大好きな音楽をバックにランニングするのも、高揚感が得られるでしょう。しかし、皆さん共通して息があがり気味なのが、気になるところ。

 

人間の心拍数は大体1分間に60回〜90回。よく音楽のBPM(ビート・パー・ミニット=1分間にビートを打つ回数)に近いとされています。それゆえ、走り始めた時は60〜90BPM通常の心拍数に近いリズム、少し身体が慣れてきたらテンポを早めれば丁度いい。しかし、そんな都合のいい音楽があるだろうか。

 

2006年のBRUTUS『カラダに良いブルータス』特集内で、初心者に適した時速8キロのトレッドミルで、有酸素運動が始まるとされる12分(あくまでも平均時間。個人差もあるため異論もある)を走り切るため、15分のサウンドトラックをHIFANAにオーダーしたことがあった。冒頭はBPM60程度のアコースティックギターのアルペジオで幕をあけ、ゆるやかにビートが加わり、最後は倍速のBPM120のブレイクビーツで終わるという、なんとも走るのにピッタリな楽曲になっていた。

 

では、ほかにこんな作品があるだろうか。90年代に<テクノの科学者>として世界中から注目を集めたDJ/プロデューサーのリッチー・ホウティン。2000年前半に古巣デトロイトを離れ、NYとベルリンを行き来しながら、DJ用パソコンソフト<ファイナルスクラッチ>の開発に携わる。それを駆使したミックスCD『DE9:Closer To Edit』を01年に発表。ノンビートのアンビエントからはじまり、ジワジワとテンポをあげながら、BPM110〜120を行き来するミックスは、やはりランニング時のBPMとして最適なミックス作品だ。また、この時期から世界中をツアーでまわるようになったリッチー。毎日のように平均4〜5時間プレイするには体力が必要なため、1月から3月までのオフシーズンには専門のトレーナーからレクチャーを受け、ランニングや食事制限、さらにはインドまで出向いてヨガやアーユルベーダも受けていた時期。ひょっとしたら自らのトレーニング用に作ったのかもしれない。

 

長時間のトレーニングに用意しておきたいDJミックス。

 

■Richie Hawtin『DE9: Closer to the Edit』
2001年に発表されたミックスCD。今でこそスタンダードとなったDJソフト<ファイナルスクラッチ>を使った世界初のミックス作品。05年に発表した続編『DE9:Transitions』もランニングに最適な仕上がり。

 

■BOB SINCLAR『MADE IN JAMAICA』
06年ワールドカップで「LOVE GENERATION」が公式アンセムに起用されたセレブDJ。10年にジャマイカへ渡り、世界最高のリズムセクションとして名高い、スライ&ロビーと制作した一枚。ラバーズのとろけそうなメロディとリズムで始まり、後半はディスコレゲエ「PEACE SONG」でアゲてくれる。生演奏のオーガニックな響きも爽快。

 

■GILLES PETERSON『FANIA DJ SERIES』
ラジオ番組『WORLD WIDE』のナビゲーターとしてもしられるDJ、ジャイルス・ピーターソンがサルサの名門レーベルの音源を惜しみなく使ったミックスCD。ティト・プエンテやエディ・パルミエリといったレジェンドの有名曲はもちろん、緩急をつけたスローバラードまで。パーカッションの可能性を聴かせてくれる一枚です。

 

渡辺克己
わたなべかつみ
ライター。『BRUTUS』や『CasaBRUTUS』などで、音楽ページを担当。夜は、DJとしても活動中。

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